オンラインイベント「舞台照明デザイナーが教えるzoomに役立つおうちライティング入門」開催します。

「舞台照明デザイナーが教えるzoomに役立つおうちライティング入門」
以下の内容で開催します。
自宅や職場からのオンラインミーティングでの照明活用術です。
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「顔が暗い」
「顔色が悪い」
「メガネにライトが映り込む」
オンラインミーティングがめずらしくなくなったこのごろ、自宅やオフィスから参加するときに自分を見せる照明について舞台照明デザイナーのぼくにそんな悩みを質問してくる人が増えました。
同じような悩みを持っている人はまだまだいるのでは、そう考えたぼくはライティングの基本とオンラインミーティングで気をつけたい照明のコツ、自宅で簡単にできるテクニックなどについてお話する講座を開催することにしました。
ぼくが演劇の世界を中心に舞台照明家として働き始めていつのまにか30年が経ちました。
演劇の照明とは「俳優さんをどう見せるか」をひたすら追求するお仕事です。
華やかな舞台と自分の部屋。
大勢のお客さんとPCモニター。
まるで違う環境のようですが「人を見せる」技術には共通することもたくさんあります。
知識を身につけ眼差しが変わると見える景色は大きく変わります。
モニターに映るあなたは相手にどう見えているのでしょうか?
オンライン時代のセルフプロデュースに不可欠な自宅での照明スキルについて一緒に考えていきましょう。
希望者には講義終了後に照明環境についての簡単なコンサルタントをさせていただきます。
この講座はZOOMを使ってオンラインおこないます。。
約50分の講義と希望者全員にその場で照明の簡単なコンサルティングを行います。
講義とコンサルティングで90分程度を予定しています。
(参加人数によって時間は変わります)
コンサルティングを希望されない方は途中退出してもOK。
また今回、自分が育てていただいた演劇業界への恩返しとして、演劇関係者の方には無料で参加していただけることにします。
講師や俳優として参加するオンラインイベント、オンライン演劇などにご活用ください。
演劇割引をご希望の方は、メールかSNSなどを通じて直接ご連絡ください。
【講義内容】
■ぼくが考える舞台照明の3つの基本「方向性」「色」「明るさのバランス」
・光の当たる角度による見え方の違い
・色温度による印象の違い
・人物と背景の明るさのバランス
■「てかり」と「映り込み」をなくすには。
・光のコントラストを小さくする
・光源とカメラの角度について
■おうちライティングをその場でコンサルティング
【日時】
6月2日 10時 14時 20時
【参加費】
1000円
(演劇関係者は無料)
【参加方法】
以下のURLからチケットをご購入ください。
開始時間によってリンクが変わりますのでご注意ください
■10時開始チケット
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01irdm110gj0x.html
■14時開始チケット
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01f3qk110gk6q.html
■20時開始チケット
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01ekkk110gkan.html
当日、開始時間の30分前にご登録いただいたアドレスにzoomのURLをお送りします。
事前にPCやスマホ、タブレットへzoomアプリのダウンロードをお願いします。
時間になってもURLが届かない場合は info@hitomakase.com までお問い合わせください。
メールでお問い合わせいただいたときに、こちらからの返信が迷惑メールフォルダに自動で振り分けられるケースが増えていますのでご注意ください。
【ご注意】
時間になりましたら講義をスタートします。
チェックインやアイスブレイクは行いませんが、講師は15分くらい前から入室しています。雑談したい方やzoomに不安のある方は早目に入室してください。
アプリの使用方法やログインについてなど、個別のサポートはいたしかねますのでご容赦ください。
その道はどこへ

フォローもしていないしフォロワーさんでもないひとなんですが、あるツイートを見ていろいろと考えたことがありました。
才能が無いと、役者をやっちゃダメなのだろうか https://t.co/OBLlUVDybI
— 忍守シン(しのもり しん)「さよならはめざめのあとに」ありがとうございました (@shin_shinomori) September 15, 2019
やり取り自体はそもそも最初から噛み合ってない(リツイート元のツイートで言ってないことについて言及してる)のであれなんですが、
「才能がないと役者をやっちゃダメなのだろうか」という問いかけにはいろいろ思うところがありまして。
単純に質問へのぼくの考えは「やってもいい」 です。
誰がどうみても才能なさそうなひとでもやってはいけないってことはないでしょう。
そもそも「才能」なんてあやふやだしひとつの方向に集約されるものでもないし。
若い頃には埋もれていたものが歳をとってから輝き出すことだってあるし。
先日、ブログに書いた「DANCE TRUCK TOKYO」に「新人 H ソケリッサ」ってカンパニーが出ていて。
見たのは初めてで名前も聞いたことがなくて、出演者はみんなおっさんで、とてもダンサーとは思えない体型のひともなんにんもいて、技術もまあお粗末で、それでもとても魅力的。
ぼくは見ていて大笑いさせてもらいました。
後で調べたら主催のダンサーさん以外は路上生活経験者たちで作ったダンスユニットなのだそうです。
コンテンポラリーダンスが社会的役割を持てるのかを考えるなかで、経験も興味もない路上生活者たちと踊ってみることを始めたのだとか。
「ダンス」というジャンルは身体表現なので、肉体の能力とか身体コントロールするスキルとかが観客の目にはっきりとさらされてしまいます。
そんなジャンルでも素養や才能、技術がなくても表現は成立させられるんですよね。
だから「才能」とか「センス」とかあやふやな言葉なんて気にせずに、やりたいならなんでもやればいいと思うんです。
「表現する」ことに真摯であればきっと思いは伝わる。
そう思うんです。
ただ、
「好きなことをやり続ける」
「好きなことをやり続けるために、マネタイズする」
は全然違うことだし、
「マネタイズするために、好きなことをやり続ける」
も微妙だけど全く違うこと。
小劇場とかダンス界隈には
「好きなことをやり続ける」ために頑張ってるひとはたくさんいる。
バイトしたり会社に勤めてお金を稼ぎ、ノルマを支払って舞台に立ち続けるひとがたくさんいて、その努力には正直頭がさがる。
だけど、それでいいのかなあとも思っちゃう。
まあ、本人たちが幸せならいいんだけど。
ぼくはできれば限られた人生をできるだけ好きなことだけをやって暮らしていきたいと思っていて、そのためには好きなことでお金を稼ぐ、もしくはせめてお金を使わないようになりたいと思っている。
20代の頃から好きだった演劇に関わることでお金を稼いでいる。
帆船で大西洋を横断したときは報酬はなかったけど、乗船費はかかってないし、現地までの交通費は出してもらっている。
最近になって始めたいくつかのことも、お金もしくはそれ以外のなにかで自分に具体的なプラスが生まれるように考えてはいる。
(うまくいってるかどうかは別として)
そうして好きなことに使える時間が増えれば増えるほど、いろいろな意味で世界が広がるんだけどな。
技術や経験値も増えるし。
いろいろなひとにも出会えるようになるし。
自分の価値があがればさらに先が広がる。
ノルマを払うだけではたどり着けない場所にもたどり着けるようになる。
もちろん、ひとによって目指す場所は違う。
だけどあなたの道は目指す場所につながっているの?
繰り返すけど、本人が幸せならばなにも言うことはない。
世の中には、演じ続けられれば、踊り続けられれば、歌い続けられれば、ただ舞台に立ち続けられればそれだけで幸せというひともたくさんいる。
メジャーになりたいとか少しも思ってなくて、うまくなりたいとも思ってない。
でもね、どんなに下手くそでも、幸せそうに舞台に立つ人は見る人をポジティブにさせる力があると思うんだよね。
冒頭に引用したツイートのひと。
個人的には全く面識もないんだけど、役者をやっていて幸せなのかな?
余計なお世話だけどそう感じちゃう。
本当に余計なお世話だと思うけど。
続きを読む地べたと高層ビル

新宿中央公園でコンテンポラリーダンスの野外イベントがあって。
出演者が面白そうだったので見に行った。
日常の空間に非日常が割り込む感覚がとても素敵。
高層ビル群の借景が舞台美術。
通りかかった救急車のサイレンがちょうどいい効果音。
都会の足元で繰り広げられた、一夜だけの小さな祭り。

公演が終わって見上げたら都庁が三色にライトアップ。
来年のいまがパラリンピックの会期なので、そのテーマカラーに染めてるらしい。
建物のライトアップは好きだけどこれはなんだかなあ。
ちょっとばかし押し付けがましくないですか?
主義や主張を背負ったときに、表現が力強くなるのか押し付けがましくなるのか。
己の正しさを疑わない態度はしらずしらずに人を卑しくしてしまう。
そんな気がする。
正しくはないことを自覚して、それでも表現しようとするひとたちと一緒に過ごしたあとだからそう感じてしまうのかもしれない。
そんなことを思いながら歩いて帰った。
高層ビルのてっぺんを彩るよりも、地べたで踊るひとたち照らす仕事だということを、ぼくは誇りに思う。
大きくて、明るくて、そして正しいものには心惹かれなくて。
散歩するのにいい季節になってきた。
興味や愛情もなく技術だけで

西新宿のオフィス街にある、新宿三井ビルディングにオフィスを構える会社対抗ののど自慢がすごい、という記事を見ました。
今年で45回目。
「新宿のサマソニ」とか「大人が本気で盛り上がるカラオケ大会」とか話題になっているようです。
最近ではツイッターなどでの実況も盛り上がっているみたい。
探すと動画もいくつも出てきます。
2019年 第45回新宿三井ビルのど自慢大会 決勝「お嫁サンバ2007 New Vocal Heat Ver.」
2019年 第45回新宿三井ビルのど自慢大会 決勝「ルパン三世のテーマ」
見ていて楽しそうだなあと思う一方で、騒々しいのはキライだなあとも感じます。
基本的には騒々しいのがキライで、外出するのも好きではなく、人混みが苦手。
そんな人間がどうして舞台の仕事してるのかも疑問ですが。
うーん。
なにが引っかかるのかよくわからないんですが、どうもこのイベントの記事を見てるとモヤモヤしてくんですよね。
なんだろうね。
8年ほど前に、舞台の仕事がイヤでイヤでしょうがない時期がありました。
その頃に感じてたものとちょっと似てる気もします。
お仕事でいろんなお芝居やライブに関わっていて、でも本番をやりながら
「なんで、オレ、こんなことしてるんだろう」って目の前で繰り広げられていることに、興味や愛情もなく技術だけで対応していたあの頃。
好きでもないことに、お金を得るために技術と時間を切り売りしていると感じていて。
その後、半年間完全に仕事をお休みすることで、舞台への興味や愛情は取り戻せたのだけど、それでも時折なんとも形状しがたい感覚にとらわれることがある。
今回もそう。
うーん、どうしてかなあ…。
続きを読む「人生これからどうする?!会議」の帰り道に考えたこと

清澄白河にあるリトルトーキョーというイベントスペースで「人生これからどうする?!会議」に参加してきました。
勉強家の兼松佳宏さん、LITALICO発達ナビというwebメディアの編集長だった鈴木悠平さん、日本仕事百貨でイベントの企画をしている今井夕華さん、三人の登壇者がそれぞれの人生の悩みを暴露して、それについて参加者も語り合おう、みたいな企画でした。
たまたまなんですが、登壇者三人共に面識があったので、あのひとたちが人生に何をなやんでいるのかにも興味があったので参加してみました。
「会議」というタイトルにふさわしく、ただ登壇者の話を聞くだけではなく、参加者から登壇者への質問もたくさんでて、また参加者の悩みやこれまでの暮らし方について話してもらう時間もあり。
ふつうとは違う雰囲気や距離感のイベントでした。
しかし自分の人生についていろいろと考えている人は多いですね。
ぼくなんて大した努力もせず、ずっとフラフラしてたのになんとなく生き延びてこられただけなので、なんか申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
まあ、もうすぐ野垂れ死にするんじゃないかとは思いますが。
リトルトーキョーのイベントには何度か参加したり、登壇したりしていて、今回の進行をしている今井さんもぼくのことをわりとよく知っていて、そして仕事とか働き方がテーマなので、話を振られるかなあと思ってたら予想通り振られました。
振られ方が、
「田中さんは仕事と趣味をキッチリ切り分けてどちらにもエネルギーを注いでるんじゃないですか」って感じ。
「舞台照明家」と「帆船乗り」というぱっと見、まるで関連がなさそうなジャンルに足を突っ込んでいるのを知っていたのでそう聞かれたのだと思います。
「一見、無関係なように見えて、自分のなかではわりとつながっていて、どちらもぼくの本質と結びついてるんですよ」みたいな答えを返してそこからどんなことをやってきたかの話をしたのですが、帰り道にいろいろと考えていてそれだけじゃ答えとして足りないなあと感じてもう少し整理して書いてみる気になりました。
ぼくには「仕事と趣味」という切り分け方があんまりピンとこなかったのです。
舞台照明はまあ仕事と言っていいかもしれません。じゃあ帆船は趣味なのかと聞かれるとなんとなくしっくりこない感じ。
そもそも舞台照明も最初は趣味というか部活や知り合いの劇団のお手伝いからスタートして、なんかだんだんとお小遣いを貰えるようになり、そしてちゃんとしたギャラをいただけるようになり、気がついたら学生でありながら普通に舞台照明のギャラで飯が食えるようになり……。
そうなんです。舞台照明も決して仕事として始めたわけではなく、気がついたらなんとなく好きなことで生活ができるようになっていた、って感じなんです。
だから自分が興味を持ったすべてのことは「仕事」になる可能性を秘めていると感じてます。
好きなことを仕事にすることがいいのか悪いのか、っていう議論はいろんなところでされています。
ただいい悪いとか関係なく、ぼくはできれば人生すべての時間を好きなことに関わっていたいなあと思っていて、そのためには好きなことで生活費が稼げればベストだと思うのです。
昨年、「合同会社ひとにまかせて」を立ち上げたのは、残りの人生、好きなこと全部仕事にていこうという意思表示でもあるのです。
だから、舞台照明や帆船はもちろん、本屋とかドローンとか物書き業とか、謎の冒険家サポートとか、まだ全然マネタイズできてない案件もいつかはマネタイズしてやるぜと心では思っています。
ちなみに「ひとにまかせて」の第一回の決算は結構な赤字で、売上のほとんどは舞台照明で、経営判断的には余計なことには手を出さずひたすら舞台の仕事だけやるのが正解なんですが、今年に入って本屋とドローン空撮という新しいジャンルにも手を出してしまっています。
まあ、幸か不幸かめんどうを見ないといけない家族もいないので、まだまだこれからも人生フラフラと生きていきたいなあと心に誓った夜だったりしたのですが。
続きを読む途中で帰ったワケ

生まれて初めて公演の途中で劇場を出ました。
「仕立て屋のサーカス」というライブパフォーマンス。
以前から少し気になっていたもののタイミングが合わなくて。
今回、初めて見に行けたので楽しみにしていました。
お芝居でもダンスにでもパフォーマンスでも、最後まで見ないと面白いかどうかはわからないので、これまで途中で退出したことはありません。
(本番が思ってたよりものすごく長かったので泣く泣く出たことはあり)
理由?
あんまり面白くはなかったけど、面白いところも少しあって。
構成が雑でアイデアとパフォーマンスをバラバラに見せられてるみたいな感じもあったけど。
でもそういうことじゃなくて。
最近はほとんどないですが、初日の開演時間が押しちゃうってのは若い頃は関わったお仕事でもよくありました。
たいていは仕込み時間に対してやりたいことが過剰すぎて、設営が間に合わなくてどんどんと予定が伸びていって。
リハーサル終わって10分後に客入れとか、まあ割とありました。
仕込みメンバーだったので、ゲネプロ終わって直しをしてあとは本番メンバーに任せて劇場を出たら、劇場前に一時間以上待たされているお客さんが200人くらいいてものすごい目で睨まれたこともありました。
「ぼくのせいじゃないんです。ぼくはこの3日間、精一杯がんばったんです」と心のなかでつぶやきながら足早にその場を立ち去りました。
いい経験でした。
なので、まああんまり人のことは言えませんが…
開演時間一時間前に(おそらく)予定通り開場してるってことは、そこまで準備にてこずってたってわけじゃないのでは?
開場も一時間あれば、裏での準備だってそれなりにできるよね。
なのに、なんの説明もないまま開演が15分以上押すのってどうなんだろうなあ…
しかも始まって30分くらいパフォーマンスがあって、そこから15分くらいは演奏しながら、内容や今回の企画についての言い訳めいた説明とか物販の説明とか販売している飲食の説明とか。
そして「15分間の休憩です」かあ。
3分くらい考えて、これ以上ここにいるのは不愉快だから出てきちゃった。
内容についても本公演ではなくてトライアル公演だということは理解してたけど、なんだかなあって感じ。
トライアルだとしても、告知文に書いてるような要素はあんまりなかった。
ああ、タイトル通り「落ちてくる空」だった。
そこはアイデアとしては面白かった。
でもだとしたら余計に後半は期待できなかっただろうな。
あれが用意していた一番大きいものだとしたら。
新作のためのトライアルなのにwebサイトとかで見た写真と同じようなシーンしかなくて、想像を少しも裏切ってくれなかった。
海外のフェスとかには呼ばれやすい作品だなあとは思います。
ビジュアルは面白いし、言葉ではなくて「音と布」を作品の軸においているので。
フェスのプログラムのひとつとしては魅力的かも。
ただ、単独の作品としてみると、一度目はそこそこ楽しめるけど、なんども見に行くレベルのカンパニーじゃないかもって。
製作途中のものや制作過程を公開することは意味があるとは思うけど、そういうワクワクもまったく感じなかったし。
いや、後半そういう作る過程を共有できる構成になってたのかもしれないけど、もういいやって感じになりました。
事前の告知とか、当日の受付からの流れとかもかなりレベルが低くて。
それていてチケット3,000円かあ。
そうですか。
ステージパフォーマンスは生物で、公演期間も短くて、内容についても事前に詳しく知ることができない。
チケット発売開始したタイミングでは内容がちゃんと決まってないことだってよくあるし。
だから信頼できない団体さんのチケットってあんまり買う気にならないんだよね。
うん、申し訳ないけどこのカンパニーはもう二度といかないかな。
なんだかなあ。
続きを読む【てがみ書店ができるまで 3】中身を見ずに本を買った

下北沢のワンブロックから棚が借りられる本屋のアンテナショップで棚を借りたものの、やりたいことは本を売ることじゃないのではと思ってしまってところから、今回の話は始まります。
棚を借りることにしてそこでなにをしようか、考えるうちにたどり着いたのは「国立本店」や「なタ書」「6次元」といった、これまでに見てきた本のあるスペースでした。
ぼくがステキだなと感じたのは必ずしも本が売られる場所というわけではなく、本がキッカケでコミュニケーションが生まれる場だったのです。
もちろん本を売ってもいいのですが、数十の本棚が並ぶ中で単純に自分の選書だけでそこで存在感を出せるだけの自信もありませんでした。
なので、ここで考えたのは、
「棚ひとつ分の小さなスペースから本をキッカケにしたコミュニケーションが生まれるオリジナリティーのある仕組み」を作ることでした。
考えるなかで思い出したのが、BOOKSHOP TRAVELLER に棚を出していた「TBOOKS」さん。
下北沢にリアル店舗も出している本とタロットと雑貨のお店。
こちらではタロットカードのリーディングもやっているのですが、そのリーディングの結果から本をリコメンドする「タロット選書」というのも行っているそうです。
BOOKSHOP TRAVELLERではその簡略版(?)で、タロットカードの大アルカナ柄のブックカバーを掛けた本を販売していました。
面白いのはブックカバーのせいで中身が見えないこと。
手にとって中を開けば見えますが、棚に並んでいる限りはタイトルも表紙も見ることはできません。
カバーのカードのイメージから選書されてるそうですが、ヒントはそれだけ。
ここまで来たら、もう中身を見ずに買ったほうがいいんじゃないかと思わせる潔さ。
ぼくも自分が好きな「fool」のブックカバーがついた本を買ったのですが、うちに帰るまで中身は見ませんでした。
レコードやCDをジャケ買いする感覚と似てるのかもしれません。
「中を見ずに買う」という行動はとても新鮮。
普段は本を買うときに内容とか著者とか気にして買うのが当たり前なのに、ちょっとした仕組みで内容を知らずに本を買うことに意味や価値を生み出してる。
そこがとてもおもしろく感じたのです。
もうひとつ思ったのは本を選ぶ基準。
誰でも好きな作家やジャンルの本を手に取るのが当たり前。
この頃は口コミやリコメンドサービスも充実していて、自分が好きな本にたどり着くことは昔と比べてずいぶんと簡単になった。
でもそれって幸せなこと?
演劇の世界で仕事をしていて変わったなと思うのは、お客さんの行動パターン。
広く浅くいろいろな作品を見る人が一昔前までは主流だったのが、いまは特定のジャンル、劇団、俳優さんにフォーカスして見るケースが増えた。
アイドルみたいに「推し」や「担当」がいることも普通に。
お客さんが変わるのに合わせて売り方も変わる。
ひとりの強烈なファンになるべくたくさんお金を使ってもらう、客単価をあげる戦略がごく当たり前になった。
生写真みたいな役者個人にフォーカスしたグッズ。ツーショット撮影券や握手券。
何度も公演に足を運んでもらうために、日替わりゲストを呼んだり、連日トークショーを開催したり、アドリブのシーンを入れて毎ステージ違う演技を見せたり。
ホストクラブ的なシステムを取り入れた、公演期間中の役者それぞれのグッズの売上を競い合うようなところも出てきた。
もちろん、お客さんに喜んでもらうためにいろいろと工夫することは悪いことじゃないし、お客さんの満足度も高いのだから誰が文句を言う筋合いでもない。
でもさ。
たくさんの情報があって、自分にあったコンテンツにたどり着くことが簡単になって、そのコンテンツの周りで充分に楽しく遊べる。
それはそれですごいことだけど。
でも、本の、書店の楽しみ方ってそれだけではないはず。
棚を隅から隅まで眺めて、タイトルや背表紙の色からなんとなく惹かれたものとの偶然の出会い。
ネットにはないリアル書店の面白さってそこにあるんじゃないかな。
だからジャケ買いみたいに中身を見ずに本を買うことができる。
「知らない本」と出会える書店。
なんとなくだけどそういう方向でもう少し考えてみよう。
(つづく)
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【てがみ書店ができるまで 2】そもそもやりたいことは本屋なの?

つい勢いで本棚ワンブロックを借ります!って言っちゃったのが前回ですが、
今回は言っちゃったけどどうしようっていうお話です。
本は好きですし、本屋巡りも好きでした。
けれど、前回のブログにも書きましたが「モノを売る」ことには興味も経験もなく。
どんな棚をつくればいいのか、どんなものを売ればいいのかの具体的なイメージはありませんでした。
そもそも、新刊書店なの古本屋なの?
仕入れのノウハウあるの?
そもそもやりたいことは本屋なの?
他の本棚オーナーさんはと見ると、選書に意思を感じられたり、売り方に工夫が感じられたり。
「本屋」に夢を持っているひとたちと、勢いで始めちゃおうっていう自分がなんか同じレベルで勝負するのが申し訳なく感じられてしまいます。
一応、海・船関係と舞台関係に詳しいという強みはあるものの、どちらもあまりにもニッチな業界
BOOKSHOP TRAVELLER店主の和氣さんからは、
「ニッチなジャンルの本のほうが意外と売れたりするんですよ」
とは言われたものの、さすがにニッチ過ぎて関連書籍も少ないし、絶版になっているものも多くて。
そして出版部数も少ないので中古業界にもあまり出回っていない。
数年前に「国立本店」という国立にある本をベースにしたコミュニティースペースの「ほんの団地」に船関係の蔵書を置かせてもらったことがあったのだけど(こちらは販売ではなく展示)、ぼくが忙しくてあまりうまく活かせなかったということがあり、周りから興味を持ってもらえる気がしなかったことも、自分が選書した本を置くことに消極的だった理由。
とはいえ、借りちゃったのでなんとかしないとなあとぼんやり考えていて思い出したのが、荻窪にある「6次元」さんと香川県高松市にある「なタ書」さん。
どちらもちょっと見にはそこにお店があることすらわからないような場所なのに、中は本で埋め尽くされた空間。
6次元さんは「本がたくさんあるイベントスペース」

ぼくもイベントに参加するために訪れて驚きました。
店主のナカムラクニオさんに話を伺いましたが、本はあくまで自分の趣味で集めているだけで売り物ではない。
以前は書店やブックカフェとしても運営していたけれど、いまではイベントの企画を行っているとのこと。
なタ書さんは「完全予約制の古本屋」というユニークな営業形態。

店主の藤井さんは独特の雰囲気を持つひとで、このお店の魅力は予約制という運営の仕方ではなく藤井さんのキャラクターにあるんです。
なかなか簡単には伝えられないので、ネットで見かけた記事を貼っときます。
どちらもいわゆる「本屋」の形とは違うところで成り立っているお店。
「なタ書」は確かに古本屋さんではあるのだけど、同時に地域で文化的な活動をするひとのハブ的な要素もある。
6次元では本を売ってすらいない。
ただ「本がたくさんある空間」を作りそこから価値を生み出している。
自分がやりたいことは「本屋」という営業形態ではなくて、本があることで生まれる「なにか」を作り出すことなんじゃないか?
だんだんとぼくの考えはそういう方向に傾いていったのです。
(続く)
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【てがみ書店ができるまで 1】 ぼくも借ります!

てがみ書店というサービスをリリースします。
書店という名前ですが扱う商品は書籍ではなく、好きな本への愛情を綴った「てがみ」というなんだかよくわからないお店。
サービスの内容だけだとよく分からいひとも多いのではと思い、てがみ書店をスタートするまでに起こったことや考えたことについて書いてみようと思いました。
てがみ書店が生まれたのは、下北沢に「BOOKSHOP TRAVELLER」という場所があったからです。
BOOKSHOP TRAVELLERは「本屋のアンテナショップ」というコンセプト。
カフェの奥に細長いスペースあって、本棚をワンブロックから本屋をやりたい人に貸し出すというちょっと面白いスペースです。
ぼくは舞台関係の仕事をしていて、どちらかというと「後に残らないもの」をクリエイトすることに喜びを感じていまうタイプ
時間と空間を共有したひとしか味わうことのできない「ライブ」の感覚が大好き。
なので「モノを売る」ことには興味がなかったし、実際にアルバイトも含めて物販はやったことがありません。
またフリーランスで仕事をしていて、数日から数ヶ月の単位で、いつも違う劇場、違う団体を渡り歩いて働くことが好きで、ひとところに腰をすえてじっくりと暮らすのも、どちらかというと苦手なのです。
20代の頃からそんな暮らしを30年ほど続けてきたのですが、どこか心境の変化があったのかもしれません。
去年一年間、国立の「つくし文具店」を拠点にデザインについて考える「ちいさなデザイン教室」に参加しました。
月に一度、つくし文具店のお店番をすることと引き換えに、デザインや文具、プロダクトや地域などについて考えるコミュニティーに参加できるというプロジェクトでした。
そんな感じで少し興味の対象が変わってきたタイミングで「BOOKSHOP TRAVELLER」と出会いました。
BOOKSHOP TRAVELLER店主の和氣さんとは5年位まえから知り合いでした。
最初にお会いしたときは「本屋が好き」とは言うものの本や書店とは関係のない一般企業にお勤めだったのですが、気がついたら退職→本好きコミュニティーの運営→著書出版(東京わざわざ行きたい街の本屋さん)とあっという間に「本屋好き」を仕事にしていき感心していました。
そんな和氣さんのフェィスブックに去年の秋くらいからやたらと「下北沢で本棚作ってます」という記事がアップされるようになり、なにやってるんだろうなあと思っていたら、BOOKSHOP TRAVELLERという面白いスペースがオープンしたのです。
どんな場所なのか気になったのでオープンからしばらくして実際に足を運んでみました。
下北沢西口から歩いてすぐ。
狭い路地の奥にあるカフェスペースのさらに裏にあるわかりにくくてたどり着きにくい場所。
そこがBOOKSHOP TRAVELLERでした。
細長いスペースの両側は一面の本棚で、本棚には本がビッシリ。
棚の一区画がそれぞれひとつの本屋さんになっています。
実店舗を持っている書店や地方の書店のアンテナショップ。
webを中心にやっているお店の小さなリアルスペース。
そして他の仕事をしながらいつか本屋をやりたいと夢見る人の夢の入り口。
本に囲まれた隠れ家のようなその場所にぼくはひと目で心奪われて、その場で
「ぼくも借ります!」と宣言してしまったのです。
まるで恋に落ちるみたいに。
〈オープニングイベント開催します!〉
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てがみ書店オープニングイベント

このたび、下北沢にある、本屋のアンテナショップBOOKSHOP TRAVELLER さんで「てがみ書店」というプロジェクトをスタートします。
書店という名前ですが本は扱いません。
販売するのは「本について書かれたてがみ」です。
やりたいことは「本」をテーマにした新しいコミュニケーションをつくることです。
オープニングを記念して6/22(土)にイベントを開催します。
ゲストにBOOKSHOP TRAVELLER店主で街の個性的な書店を紹介した「東京 わざわざ行きたい街の本屋さん」の著書でもある和氣正幸をお呼びします。
イベントでは参加者のみなさんにそれぞれ自分のおすすめの本をご紹介いただき、その本への愛を語る「てがみ」をお書きいただきます。
書いていただいた「てがみ」は店頭で販売させていただき、誰かの手元に届きます。
なかなかコンセプトをうまく伝えきれていない感じがするのですが、なんとなくピンときたかたはぜひご参加ください。
立ち上げたばかりで、また似たようなものが少ない新しいプロジェクトなので、内容のブラッシュアップやPR戦略などを考えるためにも、質問や気になる点があれば、いろいろとご指摘いただけると助かります。
よろしくお願いします。
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