海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

染み付いてしまったもの

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今日の現場で今年始めて「ピンフォロー」というポジションをやることになりました。

「ピンスポットライト」という明るい機材で舞台にいる人を手動で照らし続けるお仕事です。
ただ照らすだけではなく、動きに合わせて明るさとか照らす範囲とかを微調整しつづけます。
どんどんデジタル化が進む舞台照明のお仕事のなかで、いまなお残るアナログで属人的で職人的なポジションです。

プロの舞台照明家でも上手い下手がハッキリと分かれるお仕事です。

若手の登竜門的なポジションだったりします。

そしてピンフォローを極めた、同業者から見ても神、みたいな方もいたりします。

 

ぼくは一般的な舞台照明家と違う育ちかたをしたので、若い頃にこのポジションでの仕事の経験がやや少なく、あんまり得意ではありません。

そして年齢のこともあって最近では頼まれれことも少なくなりました。

という流れからの今年初のピンフォロー。

 

正直、ちゃんとできるかなと少し不安だったりしましたが、今日、リハーサルをやった限りはまあ一応プロとして恥ずかしくないレベルではできてた気がします。

よかった(*´∀`*)

7年前に、半年間ほぼ完全にお仕事をお休みしていた時期がありました。

もう舞台照明業界は戻らないつもりでしたが、いろいろな事情でいまでもその世界で仕事をしています。

職人の世界なので、半年休んでいきなり現場に復帰していろいろちゃんとやれるのか不安でした。でも大丈夫だったのです。

 

ぼくの舞台照明家としてのキャリアはどこをスタートにするのか微妙なんですが、一応、30年かなと思っています。

大学のサークルで舞台照明と出会い、サークルを引退して個人でプロの方と仕事にするようになってからが30年。

いまでも向いてないと思ってます。

辛かったことや泣いたこともたくさんありました。

期待を裏切ってしまったことも。

そんな時間を積み重ねた30年。

経験の厚みがあるから、ブランクがあっても普通にプロとして結果が出せてるのかなあ、そう思ったりもします。

 

経験って、ただ重ねればいいってわけではない。

確かにその通り。

ただ、愚直に日々を重ねてきた強み、それもきっとあるのです。

身体に染み付いてしまった日々が。

いいとか悪いとか関係なくて。

それがぼくなんだよなあ。