海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

なんでシェイクスピアを演じるの?

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知り合いの演出家がやっている「ロミオとジュリエット」を観に川崎まで行きました。

駅直結のショッピングモールのなかにある劇場。

ショッピングモール自体も素敵な空間だし、劇場のサイズも手頃で悪くない感じでした。

お芝居も面白かったし。

 

演劇人としてはどうかと思うのですが、ぼくはシェイクスピア作品が好きじゃないんです。

正確に言うと、シェイクスピア作品を舞台化したものであまり面白いものに出会ったことがない、です。

 

「演劇」っていう言葉はとてもざっくりしていて、人によって持っているイメージがものすごく違っています。

まあ、だからこそ面白いとも言えるんですが。

だからこれはあくまでぼくの演劇の見方であり、そこからの感想なんですが。

 

ぼくにとっての演劇の魅力は人なんです。

ストーリーとかテーマではなく。

劇中の登場人物たちの感情や思いと、人前で身体をさらす俳優の覚悟が重なり合って、日常では出会えない、人の心の深みを感じさせる、そんなお芝居が好きなのです。

 

で、シェイクスピア芝居って概して、俳優と登場人物の融合が浅い気がするのです。

例えば最近流行りの2.5次元芝居(あっ、2.5次元キライじゃないですよ)とか最近関わることの多いインプロ(あっ、インプロ大好きですよ)とかを見ていて感じる不満。

「俳優が人物ではなくキャラクターを演じている」ような軽さ。

シェイクスピア芝居を見ていると同じような物足りなさを感じるんですよね。

そもそもが、登場人物の感情が劇中で動き絡み合って作られる「物語」ではなくて役割を与えられた人形が語る「ストーリー」のように感じられるんです。

シェイクスピア作品って。

 

今日、観劇した作品ではそこを乗り越えて、感情が直接届くような瞬間はなんどかありました。

でも全体としてはぼくには物足りないシーンのほうが多かったです。

構成とか、演出とかで、すごく工夫とチャレンジがあったのはわかりました。

そして充分に楽しめたんですけどね。他のシェイクスピア作品と比べると圧倒的に。

でもやっぱり「物語」ではなくて「ストーリー」を語られている感覚は拭えませんでした。

なんか、単純にぼくとシェイクスピア作品が合わないのかなと思ったりもしますが。

 

異論、反論歓迎ですし、むしろ誰かに教えてほしいくらいです。

なんでシェイクスピアを演じるの?