さて、ただいまのあるお芝居の初日に向けて絶賛作業中です。
今回のポジションは「チーフオペレーター」
照明デザイナーの下について、劇場入りしてからの照明の施工管理、本番での照明操作、他セクションとの調整などが主な業務です。
ある程度のキャリアがないと任せてもらえないポジションではあります。
以前はこの「チーフオペレーター」がぼくのお仕事の中心でした。
ですが、去年くらいからこのポジションでのお仕事はあまり積極的には受けていません。
昔は楽しかったのですが、最近では割に合わないと感じるようになってきたからです。
今回は様々な浮世の義理もあり引き受けたのですが、元請けが気を使ってくれたのか施工のメンバーはみんな仲の良い女性フリーランスでした。
ということで施工が終わってそのまま女子3人と飲みに行くことになりました。
舞台照明業界で飲みに行くと盛り上がる話題のひとつは職場の愚痴。
ツラい仕事や理不尽な扱いをされた話はいくらでもでてきます。
そんな話がいくらでも出てくるところにこの業界の闇を感じることもあるのですが。
今回の飲みのメンバーはみなそこそこキャリアがあり、それぞれがチーフオペレーターとしての仕事を抱えている人たちでした。
飲み会の最初の話題はそのなかの最若手、といっても30代半ばですが、の最近の現場の愚痴でした。
ぼくがチーフオペレーターの仕事を受けなくなったのにはいくつかの理由がありますが、そのひとつにいろんなセクションの板挟みになって精神的にキツイということがあります。
照明デザイナー、舞台監督、演出家、照明の施工メンバーなどなどなどなど。
まあそこをうまく調整するのが仕事だし、面白みがあるのも確かなのですが、いい加減飽きてきました。
悩みの元はみんな一緒なので、先日の飲み会での愚痴もそのあたりが中心でした。
ぼくは
「そんなツラいなら状況を改善する提案をして、それでもダメなら断っちゃえばいいのに」という、なんの面白みもないどストレートな感想を述べていました。
だってフリーランスなんだから。
ツライ仕事は断ればいいのに。
が、他の人の感想は違いました。
「お前の愚痴は面白くない」
そこなのか〜。
ぼくが人の話を言葉の通りに受け取りがちな性格というのもありますが、女性の感覚は面白いなあ。
話は「なぜ飲みの席で愚痴を言うのか」についてに。
愚痴る彼女が求めているのは
「そんな仕事断れば」という真面目なアドバイスではなく、
「お前はがんばってるよ、すごいよ」というフォローの言葉なんだよねと、他のお姉さま方からのご指摘。
確かにその通り。
そして、慰めの言葉をもらいたいのなら、
「もっと面白く愚痴れ」
愚痴は度を越すと聞いてる方は楽しくない。
そして大変だったのはわかるけど、それはここにいるクラスの照明家は全員が通過してきたレベルだし、お前も実はそのくらいクリアできるんだろうと。
もしも、本気でツラくてどうしようか悩んでいるのなら、それはプライベートに誰かを誘って相談するべきで、みんなの飲み会で話すのはどうかと思う。
そして飲みの席で話すのならもっと
「おもしろエピソードをもっとうまく織り込め」
「みんなが盛り上がるようなテンションで愚痴れ」
というのがアドバイスでした。
そうか、なんかすごいなあと横で聞いていて思ったのです。
いや確かに、愚痴もコミュニケーションだし、相手にとってもなんらかのメリットがないと聞いてもらえないよなあ。