海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

タマリンド水

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日曜日。

今日は「シヌログ」というセブで最大級のお祭りでした。

いつ、どこに行けばいいのかまるでわからなかったのですが、とりあえず午前中に同期生と出かけてみました。

浅草のサンバカーニバルとちょっと雰囲気が似ていて、ダンサーや山車のパレードがありました。

地元の企業や団体がそれぞれ製作しているみたいです。

マクドナルドの山車もあって、ドナルドが人気でした。

(なんかぼくの知ってるドナルドと比べると若干体格がよかったですが…)

お祭りのテーマがサントニーニョ(子供のキリスト)なので、船やスペインをモチーフにした山車が多かったみたいです。

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ドナルドさん

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なぜか人魚

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昔の船

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他のダンサーにリフトアップされた王様とお姫様?

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パイナップル風のお姫様

人混みがすごくてあんまりいい写真とれなかった。

そして若い頃に浅草サンバ・カーニバルの山車のデコレーションやったときのことを思い出しました。

そんな仕事もあったっけ。

フィリピンは電線が低くて、山車がひっかかりそうになることも多いのですが、山車の上から棒で電線を交わしている人がいて、お仕事ご苦労さまって思ったり。

 

みんなでランチして一旦寮に戻って休憩。

蒸し暑いなかで沿道からパレードみててちょっとくたびれたので。

夕食がてら再び街に。

昼間は賑やかだけど普通のお祭りって感じでしたが夜は全く雰囲気が違っていて。

街なかがひとで埋め尽くされていてみんな異様にハイテンション。

すれ違うとハイタッチされたり、ハグされたり、一緒に踊らされたり。

一緒に行ったなつみちゃんはすれ違いざま顔にペイントされたり、キスされたりしてました。

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ぼくらはかなり遅めの時間に出かけたのですが、夕方前の一番盛り上がっている時間帯はもっとすごかったらしくて、同じ学校の生徒で顔中絵の具まみれで歩いている人がなんにんもいました。

盛り上がりはすごいけど、ちょっとドキドキしますね。

しかもどうもみんな素面らしいんです。

夕食を食べに行った食堂でもメニューにはアルコールがあるのに入り口にアルコールは飲めませんとただし書きがはってありました。

その後出かけた街なかでも、いつもは営業しているバーが閉まっていたり、空いているお店でもアルコールを頼むと断られたり。

しかたがないからスーパーでビールを買って飲むかと思ったのですが、昨日まであったビールが一切なくなってる。

おそらく、規制がかかっていてお酒の販売ができないみたいなんです。

ということは、みんなお酒抜きであれだけ盛り上がってるのね。

たしかに、あれでお酒が入るととんでもないことになりそう。

 

さて、晩ごはんを食べたのは寮の近くにあるズブチョンという、フィリピン名物の豚の丸焼きのお店でした。

お店の厨房には丸焼きにされた豚がいらっしゃって、注文するとそれを切り分けてもってきてくれます。

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骨付き、骨なし、そしてなにかわからないもの、の三種盛り

このお店のドリンクメニューに「タマリンド」ジュースを発見してオーダー。
ある時期に、池澤夏樹さんの小説「タマリンドの木」、坂田靖子さんのマンガ「タマリンド水」を続けざまに読みました。

しばらくして読んだ「大使閣下の料理人」というマンガにもタマリンドにまつわるエピソードが出てきます。

そんなこともあって、タマリンドはぼくのなかでは、日常では出会うことのない物語でしか知らない食べ物。

遠い異国へのあこがれを呼び起こす、そんな食べ物だったのです。

 

タマリンドは東南アジアで取れる果物。タイやインドでよく食べられるらしいです。

ドライフルーツにして食べたり、ジャムやペーストにして調味料代わりに使ったり。

フィリピンではそれほどポピュラーではないみたいなので、偶然とはいえこんなところで出会えてちょっと感激しました。

 

運ばれてきたのは茶色いジュースで、グラスの縁にはカクテルのソルティードッグみたいに塩がついています。

口に含んでみると、甘くて酸っぱくてそして独特の風味が。

グラスの縁の塩がいいアクセントになってます。おいしい。

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坂田靖子さんのマンガ「タマリンド水」はこんな物語です。

 

ひとりの旅行者が旅の途中で追い剥ぎにあい、ある村の人に助けられます。村の人はとても親切ですが言葉が通じず、帰り道もわからない。

それでも彼は村のひとを手伝ったりしながら楽しく暮らします。

食事は村の人が毎日、酸っぱいシチューをもってきてくれます。

 

ある日、言葉の通じるひとが村にやってきて、男は街に帰ることができました。

男は村での暮らしを懐かしみ、もう一度村に行きたいと思うのですが、見つけることができません。

そんなある日、友人と食事に出かけた男は村で食べたのとそっくりなシチューと出会います。

そのシチューは山奥の村で食べられているタマリンド水のシチュー。

けれど、その村には行けないよと友人は言います。

村は国境の紛争地帯で、外国人は立ち入ることができないのだ、と。

男は、いつかまた村に行ける日がくるだろうかと思いにふけるのでした。

 

明るさと悲しさ。そしてその狭間から滲み出す優しさ。

坂田靖子さんのマンガはユーモアとペーソスが混じり合った不思議な魅力を持っていて大好きです。

 

帰ってきて食堂でブログ書いてたら、外で花火が始まったので、同期と見学。

けっこう派手で日本の花火にも引けを取らない感じ。

特等席から眺められてラッキー。

お祭りももう終わりなんだな、きっと。