海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

ぼくの好きな Empty Ship

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英語のリスニング向上を目指して「白い嵐」という映画を英語字幕で見てみようと思い立ちました。

といってもまだそんなに回数見てないのですが。

ちなみに「白い嵐」はこんな内容です。

 

blog.hitomakase.com

 

これまでも何度か見返してきた作品ですが、改めて何度も見ているといろいろと気になるシーンが出てきます。

せっかくなので、見返すたびにそのときに心に引っかかったシーンやセリフのことを書いてみようかと。

 

The sound of an empty ship.

 今回、心に残ったのはこのセリフ。

クルーの少年たちが上陸して、山に登ってメッセージを書いたノートを埋めるというシーンの後、船に残っているキャプテンに奥さんが話しかけます。

「あなたは上陸しないの」

それに対しての答えは

「君には聞こえる?」

奥さんは聞き返します

「なにが?」

それに対しての答えがこのセリフです。

「誰もいない船の音を」

 

帆船で暮らしていたころがありまりした。

と言っても、職業船員ではありません。

それでも一年のうちで2,3ヶ月は帆船で暮らしていました。

そこそこ大きな船だったので、普段は30人ほどのゲストと10人ほどのクルーで航海していました。

客船ではないので部屋は大部屋。プライベートスペースはベッド一個。

いつも身近に誰かの気配があって。笑い声が絶えなくて。

 

そんな環境がキライではないのですが、例えば船が陸についてみんなが出かけてしまったりとか、沖にアンカーしてみんなはボートで上陸した時。

たまたまそんな船に2,3人だけ残ることがあります。

そんな空っぽの船のことが、実はぼくも大好きだったのです。

だからキャプテンの「The sound of an empty ship」という言葉が心に残ったのです。

 

いつも誰かがいた食堂やデッキから人影がなくなり、普段賑やかな船から人の気配が消える。船は泊まっているので働くクルーの姿も見えない。

帆船という非日常な乗り物の非日常な時間。

普段とはまるで違って見える空間。

よく知っている場所、さっきまではいつも通りだったのが、ただ人がいなくなっただけでまるで違う横顔を見せる。

「empty ship」 がかもし出す不思議な時間。

 ほんの少しだけいつもとは違う空間で過ごすことは、ぼくには特別に贅沢な時間だって感じられたのです。