海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

旅公演の楽しさ

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今週末は茨城県のひたちなか市でお仕事をしています。

最近では少なくなりましたが、一時期は旅をしながらお仕事をすることがよくありました。

東京の劇団の地方公演について回るお仕事。

長いと三ヶ月くらいの旅暮らしになります。

いちばん多い時期だと、一年の半分くらいはホテル住まいだったこともありました。

 

今回の劇場はひたちなか市文化会館。

昔は勝田市文化会館だったと思います。

その頃にも何度かきたことがあります。

あるお芝居のツアーで来たときのこと。

劇場入りした初日、仕込んで本番をして会館近くのホテルに泊まりました。

翌日は夜公演。劇場には16時くらいに入ればOK。

しかしホテルは10時にチェックアウト。

 

時間を持て余した照明チームがどうしたかというと、大道具運搬用でツアーを回っていて、だけど公演のために搬入して空になった2tトラックで近くの海までドライブに行きました。

しかも主演女優も乗せて。

照明部、他セクションのスタッフ数名、そして俳優さん何人か。

もちろん、トラックなので座席に座れるの運転手入れて3人だけであとは荷台。

その頃はまだ下っ端だったぼくは本来なら荷台のはずなんですが、トラックが運転できるのがぼくだけだったので、主演女優さんを助手席に乗せての楽しいドライブになりました。

 

ぼくが若手の頃は、旅公演の合間にこんな感じで遊ぶことはよくありました。

移動日にキャンプ場を探してバーベキューをやったり。

移動の電車のチケットを払い戻しして、レンタカーを借りてドライブしながら移動したり。

いまでは移動日に制作が決めたスケジュール以外で移動することにいい顔をされないことも増えました。

まあわかります。

スタッフみんなでレンタカー借りて移動とか、事故って怪我でもされたら即公演中止になりかねないですから。

プロ意識が足りないと言われると返す言葉はありません。

とはいえ、長い旅だと心のコンディションを維持するのも難しいのです。

だからちょっとした気分転換は大目に見てもらいたいなあと。

 

キャストとスタッフの距離感も変わりました。

東京での公演は期間が長くてもキャストとスタッフが関わることはそれほどありません。

だけど旅公演だと、キャストのみなさんも本番が終わったあと時間があることも多いですし、長い旅を同じスケジュールで回っていると自然と仲間意識が生まれてきたりもします。

以前は、キャストとスタッフみんなでボーリング大会を開いたりとかもよくありました。

移動の電車でキャストとスタッフが隣同士になって話をしたりとかも。

でも、最近はそういうのはあまり喜ばれなくなりました。

キャストとスタッフとの関わりも少なくなってきたし、制作サイドが意図的に関わる機会を少なくしたりもしています。

制作チーム主催でキャストさんとの飲み会とかはいまでもよくありますが、席が分かれていたりして、キャストとスタッフみんなで楽しく遊んだり飲んだりはあまりしなくなりましたね。

いい意味では職分をキッチリ守っているのかもしれません。

見方を変えると、人間的な関係性のない同士で作品を作るのってどうなのという感じもします。

 

もちろん、俳優も舞台スタッフもただの職業です。

その職分をわきまえることも大切。

ただ同時に同じ作品を作り上げる仲間でもあるし、長い旅公演を共にする同士でもあるのです。

数年前に旅公演に参加した作品の再演が決まりました。

旅中に何度か飲みに行った俳優さんからすぐに連絡が。

今回は一緒に行けるのって。

こういう連絡をもらえるのは本当に嬉しいです。

キャストとスタッフの間のこういう距離感はなくして欲しくないなあと思ったりします。

たしかにお仕事ですがただのお仕事ではないんだよなあ。