はじめて、
キスしたときの大好きな彼女の体温や匂いをハッキリと覚えている。
ホコリ臭い小さな劇場でお芝居を見たときの驚きと熱も。
友達とふたり、海辺で夜明かししたときに話したことを覚えている。
マストのテッペンで360°、海しかない景色を見たときの心の震え。
なにもかもが悔しくて眠れなかった夜のことも。
ささいだけれど真っ直ぐな想いがが届いた喜びも。
小さな漁港の夜明けとか、大西洋の上に広がる満点の星空とか。
見たものや感じたことはいまでも心に染み付いている。
日付とか、年号とか、そんなことは覚えてないけど。
大切に生きているつもりだけど。