海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

常夏

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週が変わって新しい先生とのクラスがスタート。

Cris先生に

「何歳?」って聞かれたから

「50歳」って答えたら、

「ええ、40歳くらいだと思ってた。どうしてそんなに見た目が若いの、なんか秘密があるの」って驚かれました。

自分では40歳くらいからルックスは老け込んできてる感じなんですけどね。

 

昨日の夜は英語の夢を見ました。

といっても、課題の文章を夢の中でも必死になって暗記してるだけだったんですが。

なんどもなんども同じ文章をつぶやき続けるという、現実と同じことをやってるだけの夢。

そして起きたあとも、同じように宿題の英文の暗記をやりました。

リアルなのか夢なのか。

映画や小説だったらなんだか怖いお話が始まりそう。

 

昨日、一緒に遊びに行ったメンバーのほとんどは今日はちょっと調子が悪そう。

いつもはパワフルな同期で大学生休学中のがっしーも今日はちょっとお疲れ気味。

それでも机に向かって勉強してますが、いつもよりもずっと頻繁に休憩や仮眠をとってます。

今日もこの学校の標準になってる一日10時間の勉強をクリアしたいって。

「そんなんで勉強しても身につかないんじゃない?今日はもう休んだら」

そう声をかけたら、

「このコンディションで10時間をクリアできたら、これからはもっと楽に10時間いけるようになる気がするんです」

なんという体育会的発想。

しかし確かに。

言い訳ばかりして自分を甘やかすことを覚えてしまった自分が恥ずかしい…。

 

留学してから3週間が過ぎました。

授業の進み方にもここでの暮らしにもすっかり慣れました。

ここまではひとつひとつのクラスに発見や刺激がありました。

いままでできなかったことができるようになった実感も少しは。

だけど、ここからがキツイんじゃないか、そんな予感も。

課題やテキストは変わるし、授業のカリキュラムも少しは変わっていきます。

けど、基本的には同じことの繰り返し。同じような課題をひたすら進めていくだけ。

モチベーションを維持することが難しくなりそうな、そんな気がします。

ぼくは今週末でここを離れますが、周囲には半年くらい滞在するひとたちがゴロゴロいます。

半年この生活を続けるのはどういうことなのか、ぼくにはうまく想像できません。

 

日本から何冊か本を持ってきています。

一週目はほとんど読む時間も気力もなかったのですが、二週目から少しずつ時間を作ることができるようになって。

寝る前に30分だけ、本を読む時間にしています。

先週読んだのは開高健の「夏の闇」

日本でもなんどか手にとったのですが、文章の密度がものすごくて全く読み進められませんでした。

亜熱帯の生暖かい空気に包まれて、これまでの生活から完全に切り離された暮らしのなかでなら、もしかするとこの本が読めるかも。

そう思って本を開いたらそのとおりでした。

英語にまみれた一日の終わりに読むと、妙に言葉がスッと身体に入ってきて。

 

物語の舞台はベトナム戦争当時のドイツ。

ストーリーなんてあるようでない。

ベトナム戦争を取材するなかで自分を見失った男の、ひとりの女との無気力な暮らしをただダラダラと書き連ねているだけ。

なのにその言葉が心に刺さる。

世界に向き合う個人の葛藤。

日常を拒み続ける生き様。

どう書いても言葉が足りない。

あのねっとりと甘ったるい言葉の重さをどうやったら伝えられるんだろう。

 

沈んだり、立ち上がったり。

眠ったり、戦ったり。

ときに気高くて、またあるときは沼のそこみたいに怠惰で。

そのすべてがひとが生きるということなのかな。

自分に誠実に生きるってことは。

なんてめんどくさいんだ。