海と劇場、ときどき本棚

2018年の7月に爆誕した何をするのかを模索しつづける会社「ひとにまかせて」代表のブログです

ただの硬い石

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舞台照明業界って、ぼくが入った頃はとても古い体質のところで、怒られて育つのが当たり前みたいな感じで。

いまはもうそれじゃあやっていけないのでかなりソフトになった。

ぼくくらいの年代を境に男女比が逆転して、いまは圧倒的に女性が多くなったのも雰囲気が変わった理由のひとつかもしれない。

そして女性が多いし、技術の習得にある程度の時間が必要なことから、結婚とか出産とかした人が仕事に戻りやすい環境について配慮されているケースが増えた。

まあ元々が長時間で属人的な労働環境なのでまだまだ全然なんだけど、かつてはガンコ職人的価値観が幅を効かせていたのが、女性の働きやすさについてはかなり意識が高くなっているのはちょっと面白い。

 

好きなことを仕事にしてしまったのですが、そうなると自分よりもずっと好きな人のなかで暮らすことになります。

ぼくは普通の人の100倍くらい演劇が好きかもしれないけど、そんなぼくより100倍演劇が好きな人がゴロゴロいるなかでお金を稼ぐというのもなかなか大変だったり。

仕事を始めたころはほとんどのことがうまくできなくて先輩から凹まされてばっかりで、自分の想いとか情熱とかプライドとか、表現できなかったり結果がついてこないことは全部否定されてしまう。

でもプレッシャーのなかでそれまで持っていたものを一度全部否定されて、それでも壊れずに心の奥に残っていたものも見つけられたのです。

多分、それが本当のプライド。

 

それがぼくにとっての宝石っていうとかっこいいんですが、ただの硬い石だったりもするんですが。

宝石みたいにキラキラしているわけではなくて、あんまり硬くて壊されなかっただけで、見た目はどこにでも転がっていそうな石。

でもその石を大事に抱えこんでいたからここまでやってこれたってところもあって、愛着だけはあるんですよね。

ただの硬い石なんですけど。